AIツールの進化スピードは、もはや異常です。
レタッチに限った話ではありません。3ヶ月前に「これが最強」と言われていたツールが、次の四半期にはもう古くなっている。新機能が出たと思ったら翌月にはさらに上位のモデルに置き換わる。買い切りで安心していたソフトが突然サブスク専用に切り替わる。2026年のAIツールは「今日のベスト」が「来月のセカンドチョイス」になる世界です。
この記事も、おそらく数ヶ月後にはまた書き直すことになるでしょう。それくらい、動きが速い。
じゃあ、今ツールを選んでもすぐ意味がなくなるんですか?
いいえ、逆です。変化が速いからこそ「今の時点で何がベストか」を定期的に整理する意味があります。半年前の情報で選ぶと、料金が変わっていたり、もっと良い選択肢が出ていたりする。この記事は2026年2月時点のスナップショットとして、12ツールを本音で比較します。
2026年のAIレタッチ、3つの大きな変化
本題に入る前に、2026年のAIレタッチ業界で起きている3つの変化を押さえておきましょう。
変化1: 「自然な仕上がり」が最優先に
2024〜2025年のAIレタッチは「とにかくキレイに」という方向でした。肌はツルツルに、空はドラマチックに。しかし2026年は「不自然にならない」ことが最優先に変わっています。Topaz Photo AIの「Wonder 2」モデルや、Luminar Neoの最新パッチでも、より自然な仕上がりが追求されています。
変化2: 買い切りからサブスクへの移行
Topaz Labsが2025年10月に買い切りライセンスを廃止し、サブスクリプション専用の「Topaz Studio」に移行しました。これまで$199の買い切りで使えたTopaz Photo AIが、年間$199のサブスクに。買い切りを維持しているLuminar NeoやON1の存在感が相対的に増しています。
変化3: 一気通貫ワークフローの台頭
カリング(選別)→ 編集 → レタッチ → 納品を1つのアプリで完結させるツールが台頭しています。AftershotやImagen AIがこの路線をリードしており、LightroomやPhotoshopとの使い分けが変わりつつあります。
ツール一覧 — 12選の早見表
まず全体像を把握しましょう。
| ツール | 用途 | 料金モデル | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| Luminar Neo | 総合 | 買い切り/サブスク | $99〜 |
| Adobe Photoshop | 総合 | サブスク | 月額$9.99〜 |
| Topaz Photo AI | 高画質化 | サブスク | 年$199〜 |
| Evoto AI | ポートレート | クレジット制 | 年$89〜 |
| Aftershoot | 大量処理 | 定額サブスク | 定額制 |
| Retouch4me | プロ向け | 買い切り/サブスク | プラグイン別売 |
| ON1 Portrait AI | ポートレート | 買い切り | $69.99 |
| PortraitPro | ポートレート | 買い切り | $49.95〜 |
| Imagen AI | 大量処理 | 従量課金 | $0.05/枚〜 |
| PhotoDirector | 初心者向け | 買い切り/サブスク | 年7,480円〜 |
| Canva | 簡易編集 | フリーミアム | 無料〜月$12.99 |
| Magnific AI | アップスケール | サブスク | 月$39〜 |
総合力で選ぶ — Luminar Neo / Photoshop
Luminar Neo — 買い切りで使える総合力No.1
2026年に入ってからも精力的にアップデートが続いているLuminar Neo。2月19日の最新パッチでは生成ツールの品質向上、AIアシスタントパネルの改善、Sony a7 VやPanasonic S5IIXの新規カメラサポートが追加されています。
2025年秋〜2026年の主な新機能:
- AIアシスタント: テキストプロンプトで「この写真を補正して」と指示するだけで、AIが最適な編集を提案。ライブプレビューで確認してから適用できる
- リストレーション: 古い写真のひび割れ、変色、シミを自動検出して修復
- Light Depth: 画像内に仮想3Dライトソースを配置して、光の方向と強さを自在にコントロール
- クロスデバイス対応: モバイルで撮影→外出先で簡易編集→帰宅後にデスクトップで仕上げ、というワークフローが可能に
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 買い切り$99〜(セール時は大幅割引あり) |
| 対応OS | Windows / Mac / iOS / Android |
| 日本語対応 | ○ |
| 無料体験 | 7日間 |
GenErase、GenExpand、GenSwapなどの生成AI機能は、買い切りライセンスでも1年間の利用期限があります。2年目以降は追加購入が必要です。
買い切りで使える総合ツールとしては、2026年時点でもLuminar Neoが最強です。AIアシスタント機能の追加で、初心者でも「とりあえずAIに聞く」ことができるようになりました。
Adobe Photoshop + Firefly — サードパーティAIモデル対応が革命的
2026年1月のアップデートで、Photoshopに大きな変化がありました。
生成塗りつぶし(Generative Fill)でFirefly以外のAIモデルが選択可能に。具体的にはNano Bana ProとFlux.2が利用でき、用途に応じてAIモデルを切り替えられるようになっています。
2026年の主なアップデート:
- 生成塗りつぶし 2K対応: 解像度が2048×2048に倍増。ディテールがシャープに
- リファレンス画像対応: 参照画像を指定して、スケール・回転・照明・パースを自動で合わせた合成が可能
- サードパーティAIモデル: Firefly / Nano Bana Pro / Flux.2を切り替え可能
- 削除ツール 2K対応: より高精度な不要物除去
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | フォトプラン月額$9.99〜(Lightroom付き) |
| 対応OS | Windows / Mac / iPad |
| 日本語対応 | ○ |
サードパーティAIって、どういう場面で使い分けるんですか?
Fireflyは商用利用で安全なのが強み。Flux.2はよりリアルな人物生成が得意。Nano Bana Proは特殊な質感表現に強い。Adobeが「自社AI以外も使っていい」と認めたこと自体が、業界の大きな転換点です。
高画質化・アップスケール — Topaz Photo AI / Magnific AI
Topaz Photo AI — サブスク移行で賛否両論
ノイズ除去や超解像で業界標準だったTopaz Photo AIですが、2025年10月に買い切りライセンスを廃止。サブスクリプション専用の「Topaz Studio」に移行しました。
新機能:
- Wonder 2モデル: ワンクリック補正で、以前の「プラスチックっぽい」仕上がりを改善。自然な質感を維持
- Super Focus: ピントを外した写真のシャープネスを回復
- ダスト&スクラッチ除去: スキャン画像のゴミ・傷を自動除去
- クラウドレンダリング: 重い処理をクラウドで実行
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 月額$39 / 年額$199(以前は$199買い切り) |
| 対応OS | Windows / Mac |
| 日本語対応 | △(一部) |
既存の買い切りユーザーは引き続き使用可能ですが、新機能を使うにはサブスクリプションへの移行が必要です。SNS上では批判的な声も多く、ON1やLuminar Neoに移行するユーザーも出ています。
Magnific AI — 最大16倍のアップスケール
写真のアップスケール(拡大)に特化したクラウドサービス。2025年夏に追加されたPrecisionモードにより、実写写真でも「AIが勝手にディテールを作り出す」問題が軽減されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | Pro月額$39 / Premium月額$99 |
| 対応環境 | Webブラウザ |
| 無料体験 | なし |
ポートレート特化 — Evoto AI / Retouch4me / ON1 / PortraitPro
Evoto AI — クレジット制のポートレート専門ツール
ポートレートレタッチに特化したEvoto AI。2025年秋にAIカリング機能が追加され、ブレ・露出不良・目つぶりを自動判定してベストショットを選別できるようになりました。
特徴:
- バッチ処理対応(ウェディング・七五三など大量写真向き)
- メガネの反射除去、スマイル生成などの細かい補正機能
- デスクトップ・モバイル・iPad・Web版あり
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | Starter年$89(800クレジット)〜 |
| 課金体系 | 編集・プレビューは無料、書き出し時に1クレジット消費 |
| 対応OS | Windows / Mac / iPad / Web |
| 日本語対応 | ○ |
クレジット制って、結局1枚いくらになるんですか?
Starterプランだと1枚約$0.11(約17円)。大量に処理するならStandard(年$579、9,000クレジット)で1枚約$0.064(約10円)まで下がります。プレビューは無料なので「まず試して、気に入ったら書き出す」という使い方ができるのが強みです。
Retouch4me — プロ向けPhotoshopプラグインの決定版
Photoshopのプラグインとして動作する、プロのレタッチャー向けツール。2026年2月にはStray Hairs(おくれ毛除去)プラグインが新たにリリースされました。
主なプラグイン:
- Heal: 肌のシミ・ニキビ跡を自動除去
- Dodge & Burn: 肌のトーンを均一化
- Eye Vessels: 目の充血を除去
- Face Make(2025年3月追加): ワンクリックの顔全体補正
- Stray Hairs(2026年2月追加): おくれ毛・後れ毛のAI除去
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | プラグイン別売(買い切り/サブスク) |
| 対応OS | Windows / Mac |
| 連携 | Photoshop、Lightroom、Capture One |
| 処理方式 | クラウド / ローカル選択可 |
複数のRetouch4meプラグインをPhotoshop内の1つのパネルから一括操作できるようになりました。プリセットの保存・読み込みも可能で、チーム内でのレタッチ品質の統一にも使えます。
ON1 Portrait AI — 買い切りで使える堅実な選択肢
ON1 Photo RAW 2026.2(2025年12月リリース)に含まれるポートレート補正機能。顔を自動検出し、肌のスムージング、目の補正、歯のホワイトニングなどをスライダーで調整できます。
買い切りモデルを維持している数少ないツールの一つで、Topazのサブスク移行に不満を持つユーザーの受け皿になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | $69.99(買い切り) |
| 対応OS | Windows / Mac |
| 無料体験 | 30日間(機能制限なし) |
PortraitPro — 60万人が使うポートレート定番
最新バージョンは24.3.3(2025年5月リリース)。ClearSkin 5による肌補正、生成AIによるスマイル補正、ぼやけた顔の修正などが特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | Standard $49.95 / Studio $89.95 / Studio Max $179.95 |
| 対応OS | Windows / Mac |
| 日本語対応 | ○ |
PortraitProは2025年5月以降メジャーアップデートが出ていません。機能的にはEvoto AIやRetouch4meに後れを取りつつあります。ただし買い切りで安価なので、たまにポートレートを補正するくらいなら十分です。
プロの大量処理 — Aftershoot / Imagen AI
Aftershoot — カリングから納品まで1アプリで完結
2025年にAIレタッチ機能を追加し、カリング→編集→レタッチを1つのアプリで完結できるようになったAftershoot。2025年だけで88億枚の画像を処理したと公表しています。
2026年ロードマップ(公開済み):
- バッチ全体でのホワイトバランス・露出の統一
- AIノイズ除去
- AIによる不要物除去・背景除去
- クライアント向けギャラリー(顔認識フィルター付き)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 定額制(1枚ごとの追加料金なし) |
| 対応OS | Windows / Mac |
| 連携 | Lightroom |
| オフライン | 完全オフラインで動作 |
EvotoやImagen AIがクレジット制・従量課金なのに対し、Aftershotは定額制。大量に処理するウェディングフォトグラファーにとっては、枚数を気にせず使える安心感があります。
Imagen AI — Lightroom連携の従量課金モデル
Lightroom Classic内で直接動作するクラウドベースのAI編集ツール。カリング→編集→レタッチを一貫して処理でき、カタログ全体を20分以内で処理できると謳っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | $0.05/枚 + AI追加ツール$0.01/枚 |
| 最低月額 | $7(クレジットとして繰り越し可) |
| 年間プラン | 18,000〜72,000枚/年 |
| 連携 | Lightroom Classic |
初心者・ライトユーザー — PhotoDirector / Canva
PhotoDirector 2026 — スマホでもPCでも使える万能選手
CyberLinkのPhotoDirector 2026(v17)。クイックアクション機能が追加され、写真の内容(ポートレート、料理、風景)に応じて3パターンの仕上がりを自動提案してくれます。
注目の新機能:
- ワイヤー検出&除去: 電線を自動検出して消去
- AI画像フュージョン: 参照画像のスタイルを適用
- 最大100レイヤー: 14種類のブレンドモード対応
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 365版:年間7,480円 / Ultra版:買い切り約1万円 |
| 対応OS | Windows / Mac / iOS / Android |
| 日本語対応 | ○ |
Canva — デザインツール×AIレタッチ
写真編集専用ではありませんが、Magic Edit(Leonardo AI搭載)、Magic Eraser、背景除去など、ライトなレタッチ機能が充実しています。2026年2月には静止画→動画変換機能も追加。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 無料プランあり / Pro月額$12.99 |
| 対応環境 | Webブラウザ / iOS / Android / デスクトップ |
| 日本語対応 | ○ |
用途別おすすめ早見表
初心者・とりあえず試したい
→ PhotoDirector(スマホアプリも高機能)、Canva(無料で始められる)
ポートレート(人物写真)メイン
→ Evoto AI(バッチ処理+クレジット制で柔軟)、Retouch4me(Photoshopユーザー向け)
プロカメラマン・大量処理が必要
→ Aftershoot(定額制で枚数を気にしない)、Imagen AI(Lightroom連携)
総合的に高品質を求める
→ Luminar Neo(買い切りあり)、Adobe Photoshop(サードパーティAI対応)
買い切りにこだわる
→ Luminar Neo、ON1 Portrait AI、PortraitPro
画像の高画質化・アップスケール
→ Topaz Photo AI(品質重視)、Magnific AI(最大16倍)
AIレタッチツールの限界 — 2026年でも変わらないこと
AIがここまで進化したら、プロのレタッチャーはいらなくなりますか?
その質問は毎年聞かれますが、答えは変わりません。AIが得意なのは「決まったパターンの処理」です。肌を滑らかにする、背景を消す、ノイズを除去する。これらは確かにAIの独壇場です。
しかし、「この写真をどう仕上げるべきか」の判断はAIにはできません。
- クライアントが求めるトーンを読み取る
- ブランドの世界観に合わせた色味を決める
- 「少しだけ不完全さを残す」ことで自然に見せる
こうした判断は、2026年時点でもまだ人間の領域です。
日常的な写真補正や、明確な指示がある定型作業はAIに任せ、クリエイティブな判断が必要な仕事はプロに依頼する。この使い分けが、もっとも合理的な選択です。
「AIツールを試してみたけど、思った仕上がりにならない」という場合は、Retouch Inkのような専門のレタッチ会社に相談するのも一つの方法です。プロの目で最適な仕上がりを判断してくれます。
まとめ
2026年のAIレタッチツールは、機能の進化だけでなく料金モデルの多様化が大きなトピックです。
- 買い切りで使いたいなら、Luminar NeoかON1が有力
- ポートレート特化なら、Evoto AIかRetouch4me
- 大量処理のプロには、定額制のAftershootが安心
- 業界標準のPhotoshopは、サードパーティAI対応で活用幅がさらに広がった
- 高画質化が目的なら、Topaz Photo AI(ただしサブスク移行に注意)
「自然な仕上がり」が重視される2026年。ツール選びの基準は「どれだけキレイにできるか」から「どれだけ自然に仕上がるか」に変わっています。自分の用途と予算に合ったツールを選んでください。
よくある質問(記事のおさらい)
Luminar Neoです。AIアシスタント、リストレーション、Light Depthなど新機能が充実しており、買い切りライセンスも選択できます。
はい。2025年10月に買い切りライセンスが廃止され、サブスクリプション専用(年額$199〜)に移行しました。既存ユーザーは引き続き使用可能ですが、新機能にはサブスクが必要です。
大量処理ならEvoto AI(クレジット制、バッチ処理対応)、PhotoshopユーザーならRetouch4me(プラグインで統合操作)がおすすめです。
Luminar Neo($99〜)、ON1 Portrait AI($69.99)、PortraitPro($49.95〜)は2026年時点でも買い切りモデルを維持しています。
定額制で枚数を気にせず使えるAftershootがおすすめです。カリングから編集・レタッチまで1アプリで完結し、完全オフラインで動作します。
はい。2026年1月のアップデートで、Nano Bana ProとFlux.2が選択可能になりました。用途に応じてAIモデルを切り替えられます。
定型作業はAIで十分ですが、「どう仕上げるべきか」のクリエイティブな判断は2026年時点でも人間の領域です。AIツールとプロへの依頼を使い分けるのが合理的です。