デジタルカメラが当たり前になった時代に、フィルム写真の人気が静かに、しかし確実に戻ってきています。2026年2月末に開催されたCP+2026(パシフィコ横浜)では、令和世代の若いフォトグラファーを中心に「フィルムで撮る」「ネガをデジタルに残す」という動きが例年以上に目立ちました。
そのタイミングで、Capture Oneが興味深い機能をベータ公開しました。フィルムネガ変換(Film Negative Mode)——カメラでスキャンしたネガフィルムをワンクリックで反転・色補正し、RAW現像のパイプラインに乗せる機能です。本記事では、Capture One 16.7.4 Open Beta 2の新機能の詳細と、CP+2026が示したフィルムブームの背景を解説します。
Capture One 16.7.4の新機能 — フィルムネガ変換とは
2026年2月25日、Capture OneはOpen Beta 2(バージョン16.7.4)を公開しました。このベータは2026年3月3日に期限切れとなる短期公開ですが、その中に含まれた「Film Negative Mode」は、フィルムユーザーのワークフローを根本から変える可能性を持っています。
ワンクリック変換「Convert Negative」
Film Negative Modeの核心は、「Convert Negative」ボタンです。カメラでネガフィルムを撮影したRAWファイルを開き、このボタンを押すだけで、ネガの色と露出が自動的に反転・補正されます。
「カメラでネガをスキャン」って、どういうことですか?フラットベッドスキャナーと違うんでしょうか?
いわゆる「カメラスキャン(デジタイズ)」です。ライトボックスやフィルムホルダーにネガをセットして、マクロレンズ付きのデジタルカメラで撮影する方法です。フラットベッドスキャナーより高解像度で処理できるため、プロフォトグラファーやフィルムアーカイブの現場では広く使われています。ただし、RAWで撮影したネガはそのままでは当然反転した橙色の画像なので、これを正しく変換する作業が必要でした。
従来のCapture Oneでは、カーブツールを手動で反転させるなど、ネガ変換に手間がかかっていました。16.7.4のFilm Negative Modeでは、カーブツールが「Auto」にロックされ、ネガ変換に特化した専用デフォルトカーブが自動適用されます。これにより、複雑な手動調整なしに正確な変換が可能になりました。
Capture One 16.7.4 Open Beta 2は2026年3月3日に期限切れとなります。正式版リリース時期はまだ発表されていませんが、ベータ中にフィードバックを送ることでProduct Boardを通じた機能改善に貢献できます。
専用ワークスペース「Scan」タブと「Negative」タブ
Film Negative Modeでは、Film Negative専用のワークスペースが用意されています。UIは主に2つのタブで構成されています。
| タブ | 主な機能 |
|---|---|
| Scan(スキャン) | テザー撮影またはファイルインポートでのネガ取り込み設定 |
| Negative(ネガ) | Convert Negativeボタン、色補正、トーン調整 |
「Scan」タブはテザー撮影にも対応しており、カメラをPCに接続したままリアルタイムでネガをキャプチャし、即座に変換プレビューを確認できます。スタジオでフィルムアーカイブを大量処理する用途では特に効果的です。
具体的なワークフロー — カメラスキャンからRAW現像まで
Capture One 16.7.4を使ったネガフィルムのデジタル化ワークフローは、大きく以下のステップになります。
実際の手順を教えてください。何が必要で、どう進めるんですか?
機材はデジタルカメラ(できればミラーレス)、マクロレンズ、ライトボックスまたはフィルムスキャナー用ライト、フィルムホルダーが必要です。手順はシンプルで、ネガをホルダーにセットしてRAW撮影、Capture Oneに取り込んで「Convert Negative」を押す——これだけです。
ステップ1: ネガのRAW撮影(カメラスキャン)
- ライトボックスにネガフィルムをセット
- カメラをコピースタンドまたは三脚で固定し、垂直にセット
- ホワイトバランスをライトの色温度に合わせてRAW撮影
- テザー撮影の場合はCapture OneのScanタブから直接キャプチャ
必ずRAW形式で撮影してください。JPEGではカメラ内の色変換処理が入ってしまい、Capture Oneのフィルムネガ変換アルゴリズムが正確に機能しません。RAWのまま取り込むことで、フィルムの色情報を最大限に保持した変換が行えます。
ステップ2: Capture Oneでの変換
- Film Negative Workspaceを開く
- 「Negative」タブの「Convert Negative」ボタンをクリック
- 自動でカーブが反転・補正される(カーブはAutoロック状態)
- 必要に応じてホワイトバランスや露出を微調整
ステップ3: 通常のRAW現像へ
変換後の画像は通常のCapture OneのRAWファイルとして扱えます。マスク結合、AIポートレートレタッチ、カラーグレーディング——Capture Oneの全機能がそのまま使えます。フィルムスキャンをデジタル現像のパイプラインに完全に統合できるのが、このワークフローの最大のメリットです。
フィルムごとの特性(コダックとフジとか)には対応していますか?
現時点のベータ版では、フィルム銘柄ごとのプリセットという形では提供されていません。ただし変換後に通常のカラーグレーディングを加えることで、フィルムの色調を再現することは可能です。正式版では銘柄プリセットが追加される可能性もありますが、現状はマニュアルでの調整が必要です。
CP+2026が示したフィルム写真ブーム
2026年2月26日〜3月1日、パシフィコ横浜で開催されたCP+2026(Camera & Photo Imaging Show 2026)には149社が出展し、フィルム・アナログ写真関連の展示が例年以上に充実していました。
「令和レトロ」が会場を席巻
20代〜30代前半の若いフォトグラファーの間で、フィルムカメラやフィルムライクな画作りへの関心が高まっています。CP+2026の会場でも、フィルムシミュレーション、フィルムスキャン、ヴィンテージレンズといったキーワードが随所に見られました。
コンデジやフィルムカメラが売れてるって聞きましたが、実際どのくらいなんですか?
コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)の国内出荷台数は2025年に約52.5万台を記録しています。スマートフォンカメラの普及で一時は激減していましたが、「写ルンです」などの使い捨てフィルムカメラの復権や、フィルムライクな描写を求める層がコンデジに流れる動きが続いています。
メーカーもフィルム回帰を意識
CP+2026ではメーカーがアナログ写真の文化的価値を強く意識した展示を行いました。
| メーカー | 展示内容 |
|---|---|
| Fujifilm | Xhalf コンセプトモデル(縦長ハーフサイズ風デジタル)を参考展示 |
| Canon | Analog Concept Camera(アナログ風デザインのコンセプト機)を公開 |
| Kodak Alaris | フィルム新製品・現像サービスの拡充をアピール |
FujifilmのXhalfは「フィルムカメラのように縦長の画角で撮る」コンセプトを持ち、若い世代の関心を集めました。Canonのアナログコンセプトカメラも、操作感や外観においてフィルムカメラへのオマージュを前面に出した設計です。
フィルムブームの一方で、現像できる店舗の減少が課題として残っています。CP+2026でも郵送現像サービスや現像ラボの存在感が増しており、フィルムユーザーの実需を支えるインフラとして注目されています。
Lightroom・NegativeLabとの比較
フィルムネガのデジタル化には、いくつかの定番ツールが存在します。Capture One 16.7.4の登場で選択肢が増えましたが、各ツールの特性を把握しておくことが重要です。
NegativeLabというツールは聞いたことがあります。Capture OneのFilm Negative Modeとどう違うんですか?
NegativeLabはLightroomのプラグインとして長年使われてきたネガ変換の定番ツールです。フィルム銘柄ごとのプリセット、細かい色温度・トーン調整など、フィルムスキャン専用に最適化された機能が豊富です。一方、Capture OneのFilm Negative Modeは現在ベータ段階で、機能はよりシンプルですが、Capture One本体のRAW現像パイプラインとシームレスに統合できる点が大きなアドバンテージです。
- Capture One Film Negative Modeのメリット
- Capture OneのRAW現像・マスク機能と完全統合
- テザー撮影に対応(リアルタイムスキャン)
- 追加プラグイン費用が不要(Capture One本体のみ)
- Convert Negativeのワンクリック操作でシンプル
- 既存のCapture Oneユーザーはそのまま使える
- Capture One Film Negative Modeの注意点
- 現状はベータ版(正式リリース時期未定)
- フィルム銘柄別プリセットは未実装
- NegativeLabほどのフィルムスキャン特化機能はまだない
- Capture One自体の価格が高め(月額約2,500円〜)
- カーブがAutoロックで自由な手動調整に制約あり
| 比較項目 | Capture One 16.7.4 | NegativeLabPro | Lightroom単体 |
|---|---|---|---|
| ネガ変換 | ワンクリック自動 | プリセット豊富 | 手動(カーブ反転) |
| フィルム銘柄プリセット | 未実装(ベータ) | 多数対応 | なし |
| RAW現像との統合 | 完全統合 | Lightroom経由 | 完全統合 |
| テザー対応 | あり | なし | なし |
| 追加費用 | 不要 | 約$99(買い切り) | 不要 |
| 操作の複雑さ | シンプル | 中程度 | 複雑(手動) |
CaputureOneをメインRAW現像ソフトとして使っているユーザーにとって、Film Negative Modeは追加費用なしで使えるのが最大の強みです。すでにCapture Oneのサブスクに加入しているなら、試さない理由はありません。
まとめ
- Capture One 16.7.4 Open Beta 2(2025年2月25日公開)でフィルムネガ変換機能をベータ公開
- 「Convert Negative」ボタンのワンクリックで、カメラスキャンしたネガRAWを自動反転・補正
- 専用ワークスペース「Scan」「Negative」タブでテザー撮影にも対応
- 変換後は通常のCapture OneのRAW現像パイプラインをフルに使える
- CP+2026(パシフィコ横浜、149社出展)でフィルムブームを再確認——令和レトロが若い世代に浸透
- コンデジ国内出荷は2025年に52.5万台。FujifilmのXhalf、CanonのアナログコンセプトもCP+で注目
- NegativeLabProとの比較では、Capture Oneとの統合とテザー対応が差別化ポイント
よくある質問(記事のおさらい)
2026年3月時点では正式リリース日は未発表です。Open Beta 2は2026年3月3日に期限切れとなります。Capture Oneの公式サイトやProduct Boardでベータフィードバックを送ることで、正式版の機能改善に貢献できます。正式版リリース情報はCapture Oneの公式ニュースレターや公式サイトで確認してください。
最低限必要なのは、RAW撮影対応のデジタルカメラ(ミラーレスが理想)、マクロレンズまたはコピーレンズ、ライトボックス(均一な透過光を出せるもの)、フィルムホルダーです。コピースタンドや三脚があるとカメラを垂直に固定しやすくなります。フラットベッドスキャナーより高解像度のデジタイズが可能で、35mmフィルム1本を効率よく処理できます。
すでにCapture Oneをメインで使っているなら、Film Negative Modeが追加費用なしで使えるため有利です。Lightroomをメインにしていてフィルムスキャンがワークフローの中心なら、フィルム銘柄プリセットが豊富なNegativeLabPro(約$99買い切り)が現状は機能的に充実しています。Capture OneのFilm Negative Modeは正式版リリースで機能が追加される可能性があるため、今後の動向も注視してください。
CP+2026(パシフィコ横浜、2026年2月26日〜3月1日)では、FujifilmのXhalf(縦長ハーフサイズ風デジタル)コンセプトモデルやCanonのアナログコンセプトカメラが注目を集めました。令和世代(20代〜30代前半)を中心にフィルムライクな画作りへの関心が高まっており、コンパクトデジタルカメラの国内出荷も2025年に52.5万台を記録しています。
Capture One 16.7.4のFilm Negative Modeにより、変換自体はワンクリックで行えるようになりました。ただしカメラスキャンのセットアップ(カメラ固定、ホワイトバランス設定、ライトボックスの色温度合わせ)には慣れが必要です。スキャン後のRAW現像については通常のデジタル現像と同じ操作で行えます。フィルムとデジタルを組み合わせたプロのワークフロー構築については、Retouch Inkのような専門チームに相談するのも選択肢の一つです。